ⓔコラム18-4-3 神経伝導に及ぼす体温 (皮膚温),加齢の影響
加齢に伴う生理的な髄鞘の変性のために,伝導速度は軽度低下する.また加齢に伴う軽度の脱髄のために時間的分散も大きくなる結果,SNAPの振幅は小さくなる.高齢者では振幅は若年者の半分程度になるので注意が必要である (図1).また神経伝導に及ぼす体温 (皮膚温) の影響は,かなり大きく1℃の温度低下につき1.5~2 m/秒程度伝導速度が遅くなる.これは温度低下により,Ranvier絞輪でのナトリウムイオン (Na+) チャネルの開口時間が延長する結果,伝導時間が長くなるためである.
〔幸原伸夫〕